皆様、初めまして。
kakimoto arms ラゾーナ川崎プラザ店 ヘアカラーリストチーフの今井です。
kakimoto armsにはヘアカラー専門の美容師である、ヘアカラーリストが在籍しています。
この記事は、ヘアカラーリストの店舗責任者=ヘアカラーリストチーフである私、今井の個人サイトの記事です。
さて、一般の方がヘアカラーをファッションの一部として楽しむようになって約20年。
一時的なブームではなく、今ではすっかり文化として定着しています。
髪を染める目的は様々ですが、大きくはオシャレが目的の方と白髪が気になって染める方の2パターンです。
それぞれの目的に合わせて染める方法が色々ありますが、染め方によって髪の傷み具合も変わります。
今回は、染め方と髪の傷みについてどこよりも詳しく、分かりやすく解説します。
「 髪の傷みは必要最小限にしたい」でもヘアカラーは何が原因で髪が傷むの?
そもそもなぜ髪を染めると、髪が傷んでしまうのか?
その根本的なところからご説明していきます。
明るくできるか・できないか
一口にヘアカラーといっても、髪を染める方法・薬剤の種類は数多くあります。
全てを説明するのはまた別の機会にするとして、それらを最も大別するのは明るくできるか・できないかという部分です。
明るくできる部類に入るカラー剤は髪が傷みます。
逆に明るくできない部類のものは髪が傷みません。(正確には傷みを感じません)
明るくできるカラー剤に含まれるものは、一般的にオシャレ染めや白髪染めと呼ばれるものです。
当然ながらブリーチもここに含まれます。
白髪染めは白髪を染める=暗くするのだから、明るくできるではないのでは?と思われますが、ここは後ほどご説明します。
明るくできないカラー剤には、ヘアマニキュア、ヘナ、カラーチョーク等が含まれます。
カラートリートメントもここですね。
明るくできるカラー剤のしくみとは?
髪は表面をキューティクルといううろこ状の膜が張っていて、内側にメラニン色素が入っています。
このメラニン色素が日本人の髪を黒く見せている要因です。
詳しくはこちらの記事を参照して下さい↓
明るくできるカラー剤はアルカリカラーと呼ばれ、基本的に1剤と2剤という2つの薬剤を混ぜてつくります。
1剤には主にアルカリと色素、2剤には過酸化水素が入っています。
⬆︎アルカリカラーの例。右が1剤・左が2剤。
髪を明るくするということは、薬剤がキューティクルをこじ開けて中に入り、メラニン色素を壊すということです。
キューティクルをこじ開ける時、メラニン色素を壊す時、2段階で髪が傷むということです。
簡単に言うと、この時、キューティクルをこじ開けるのが1剤の中のアルカリの役目、メラニン色素を壊す+(1剤の)色素を発色させるのが2剤の過酸化水素の役目です。
先ほどご説明した1剤にはアルカリと色素、2剤には過酸化水素が入っているという部分について。
髪を染める目的に合わせて、この3つのバランスを変えて調整していきます。
髪を明るくするだけで良い方は、ブリーチを使います。
ブリーチはアルカリと過酸化水素が必要ですが、髪の内側に入り、メラニン色素を壊すだけで良いので当然、色素はいらないです。
ですので、この2つの成分のみで構成されています。
オシャレ染めと白髪染めも当然髪の内側に入っていかなければならないですが、ブリーチと違い、髪を染めなければならないので色素が含まれています。
オシャレ染めはブリーチに近い処方で、アルカリと過酸化水素が多く、色素は少なめです。
反対に白髪染めは白髪を染めるために色素が多く含まれています。
明るくする必要はないからメラニン色素を壊す2剤=過酸化水素は少なくて良いのでは?と考えがちですが、過酸化水素は色素の発色にも必要なため、比率は減らせません。
ということは、白髪を染めつつも、メラニン色素は壊しているということです。
もちろん個人差はありますが、一見白髪に見えている髪も、わずかにメラニン色素は残っていますし、頭全体を見れば、黒い髪も残っている場合がほとんどです。
そういった髪のメラニン色素を壊すことで、髪が傷みます。
明るくできないカラー剤は?
明るくできないカラー剤としてご紹介したヘアマニキュア、ヘナ、カラーチョーク、カラートリートメント等。
⬆︎ヘアマニキュアの例。どちらも単品で染まります。
この内、ヘナ以外のものは、髪の内側に入っていかず、表面に色素がくっついているだけです。ですので、髪を傷ませることはありません。
ヘナは髪の内側に入っていくものですが、キューティクルをこじ開けるほどの力はなく、すき間から少しずつ入っていきます。
そしてメラニン色素を壊すこともないので、黒髪を明るくすることもできません。
以上の理由で髪が傷むことはないといえます。
※ただし、これら全て電子顕微鏡レベルで見ると厳密には髪へのダメージがあります。
感覚的に傷みを感じないというだけです。
髪の傷みはどれほど違う?サロンカラーとホームカラー
カラー剤の種類がご理解いただけたところで、次にどこで染めるべきか?という内容です。
美容室で染めることをサロンカラー、ご自宅で(自分で)市販のカラー剤を使って染めることをホームカラーと言います。
まず、サロンカラーについては、上記の薬剤全てを美容師がプロの目線で髪質を判断し、最適なカラー剤をチョイスするということです。
当然ながらプロが全て塗るので、ムラなく仕上がります。
ホームカラーも上記のようなカラー剤はほぼ全てあります。
基本的にご自身で塗る(素人が塗る)のでムラに染まる恐れがあります。
ヘアマニキュアに代表されるような明るくできないカラー剤もありますが、今回の記事は髪の傷みについての話ですので、髪を明るくできるカラー剤の違いをご説明していきます。
こちらの記事もご参照下さい
大きな違いは髪の傷み具合
ご説明した通りサロンカラーは、美容師が必要以上に髪を傷ませないように、薬剤をコントロールして施術を行います。
対してホームカラーの場合、市販のカラー剤は薬剤の強さを選べません。選べないというより、そもそも強さの選択肢はなく、同一の処方で作られています。
なぜなら、メーカー側が一人ひとりのお客様の髪質を判断できないためです。
では強さはどうなっているか?というと、全て強い処方です。弱いもので統一すると、染まらないというケースが出てくる恐れがあるためです。染める為に出している商品ですので、髪の傷みよりも染まることが優先です。
詳しく解説していきます。
内容成分はどう違う?
おしゃれ染め(白髪染め)は、大別すればサロンカラーもホームカラーも同じです。
しかし、詳しく見ていくとその内容成分の違いによって髪の痛み具合はかなり違いが出てきます。
1番の違いはアルカリ成分です。
アルカリ成分は髪を染めるのに必要ですが、髪に残っている時間が長いほど髪は傷みます。
何もしなくてもアルカリ成分は揮発して空気中に出ていきますが、この時臭いを発します。
つまり、臭いが強いほどアルカリ成分が髪から出て行っているということです。
サロンカラーの場合、少しでもアルカリ成分を髪に残さないように、薬剤にアンモニアなどの揮発しやすい=臭いの強いアルカリが含まれています。
しかし、美容室という広い空間でカラーをしているので、気になりにくいです。
反対に、ホームカラーで使われるような市販のカラー剤の場合、臭いが強いと不快に感じやすいので揮発しにくいアルカリを含んでいます。
髪に長い時間アルカリが残る為、髪の傷みは大きいと言えます。
これが内容成分で1番の違いです。
髪の傷みを必要最小限にする為のカラー後のケア方法
サロンカラーもホームカラーもカラーした後、髪を傷ませない為には、そして色持ちを良くする為にはその後のケアが重要です。
オシャレ染めや白髪染めなどのアルカリカラーの場合は、いかにアルカリ成分を取り除くか、が大事です。
1番はカラー用のシャンプー&コンディショナーを使うこと。
これもメーカーによって細かい処方は様々ですが、ベースとなる考え方は一緒で、シャンプーはカラーの色素を落とさず、汚れだけ落とします。
コンディショナーは色素を保護しつつ、アルカリ成分を分解するものです。
ヘアマニキュアなどの一時的なカラーの場合は、髪のコンディションが色持ちに直結するので、ダメージケアや保湿など、今の髪の現状に合わせてケアをします。
髪の傷みを必要最小限にしたいならどのくらいの周期でカラーするのがオススメ?
周期に関しては、まず髪よりも頭皮のコンディションを考えた方が良いです。
頭皮のターンオーバー(肌の新陳代謝)は正常な方で28日です。
28日ということは約1ヶ月と考えられます。ヘアカラーをすることによってダメージを受けた肌が、全て生まれ変わるので1ヶ月なので、ヘアカラーの周期は最短でも1ヶ月ごとがベターです。
では最長は?と考えると、3ヶ月未満をオススメします。
理由は、どんなにカラーケアをしていたとしても、少しずつカラーは退色していきます。
個人差はもちろんありますが、全て退色しきるのは遅くても3ヶ月です。
そして、新しく伸びてきた髪を染めるのに、3ヶ月以上空けてしまうとカラーの施術行程が複雑になります。
そなると、1回のヘアカラーに時間がかかるのと、ムラ染まりになりやすくなるからです。
以上の理由から、ヘアカラーの周期は1ヶ月以上〜3ヶ月未満がオススメと言えます。
でも僕たち美容師はもちろん、常に綺麗でいたいという方は【1ヶ月に一度】を目安にすると良いですね!
まとめ
今回は、ヘアカラーによって髪が傷む理由とその対処方法をお伝えしました。
染める薬剤や染め方は色々あり、それぞれにメリット・デメリットがあることがお分かり頂けたかと思います。
ご自身の優先順位を整理して、1番希望に合った染め方をチョイスする手助けになれば幸いです。