市販のカラー剤(セルフカラー/ホームカラー)は美容室のカラー剤(サロンカラー)と同様に日々研究・開発が進み、【質】がどんどん良くなっていて、今や昔ほどダメージを感じにくくなっています。
そんなこと言ったら、もう高い料金を払うサロンカラーの意味は無い・・・?
安く、手軽に染められて、ダメージも抑えられるならホームカラーが良いじゃない!
そんな声も聞こえてきそうな昨今ですので、今回の記事で最新の【セフルカラー】と【サロンカラー】それぞれのメリット&デメリット、そして違いをお伝えします!
実は2018年11月現在、僕自身が『セルフカラーの薬剤で髪を染めてみる』という実験中ですので、そのことも少し触れていきますのでお楽しみに♪
そもそもカラーってどういう仕組みになってるの?
セルフカラーとサロンカラーの違いを知っていただくための記事ですが、その前に『そもそもヘアカラーってどうなってるの?』という素朴な疑問にお答えします。
ただ、あまり深く掘り下げると本題から脱線してしまうので、ここでは簡単な基礎知識的なことだけにしておきます。
読んでいただいてからの方が、これ以降の記事が読みやすくなりますが「基礎知識は知ってるから本題早く!」という方は飛ばしてもらっても大丈夫です!
例外をあげるとキリがなくなりますが、基本的にヘアカラーと言われるものは1剤と2剤に分かれて販売しています。
これはオシャレ染め・白髪染め関係なく、セルフカラー・サロンカラーも関係なくです。
1剤は染料、つまり色素が入っています。
そしてこの染料が髪と定着するために、アレルギー成分も含まれています。
2剤はオキシドール(通称オキシ)、別名【過酸化水素水】です。
そう、手の消毒に使うあのオキシドールと同じです。
髪の表面をこじ開けて中に入り、髪本来の色素である【メラニン色素】を壊す役目があります。
少し無理矢理な解説になっている部分もありますが、このようにイメージしておけばひとまずOKです。
セルフカラーとサロンカラーの特徴(メリット&デメリット)
ざっくりと【ヘアカラーの理論】を勉強していただいたところで、まずはセルフカラーとサロンカラーの違い…の前に、まずはそれぞれの特徴をメリット・デメリットに分けながらお伝えしていきます。
先に特徴を整理して、その後で違いをみていきましょう。
簡単にイメージしてもらうと、例えば「食事をするときに家で作って食べる?レストランに食べに行く?」と言われたら、皆さんそれぞれ違いやメリット・デメリットがイメージできると思います。
ヘアカラーに関しても、そのような感覚に近いと思います。
セルフカラーの特徴
まずはセルフカラーのメリットから見ていきましょう。
・安い!
・自分のタイミングでできるからお手軽
といったところでしょうか。
何といってもやっぱり『安い!』というのは大きいですよね。
施術料金が含まれていないこともそうですが、カラー剤自体の価格もプロ用に比べて安いので、結果全体の価格を抑えられます。
このメリットは外せませんね!
後は、『自分のタイミングでできるからお手軽』ということですね。
美容室でヘアカラーをするとなると、当然ながら美容室が開いている時間にわざわざ行かないと行けません。
家でやるなら、早朝だろうと深夜だろうと、自分のタイミングで出来ます。
なんならヘアカラーを塗って、放置中に掃除や洗濯だって出来ちゃいます。
これも家にいながらにしてヘアカラーをするということのメリットと言えますね!
では、セルフカラーのデメリットは何でしょうか?
・難しい
・お風呂場とか汚れるかも
今あげる点はこの部分です。
やっぱり『難しい』ということが1番ですよね。
慣れてくるとある程度スムーズに(いつも通りに)手が動くようになってくるようですが、自分の髪に自分でカラー剤を塗るというのは、初めてだと思ったよりも難しいものです。
特に後頭部は鏡で見ていてもよく分からなくなって、大体の方が結局『バーっと塗って手で馴染ませる』か『もはや諦めて見えるところだけ塗る』かのどちらかになるようです。
もう1点は、『お風呂場とか汚れるかも』問題ですね。
これも慣れてくるとある程度大丈夫なようですが、塗ってる最中に周りに飛び散ったり、洗い流すときにシャワーのお湯で飛び散ったりする可能性があります。
サロンカラーの特徴
次にサロンカラーの特徴です。こちらもまずはメリットから。
・ムラなくキレイに染まる
・色数の豊富さ→似合う色にしてもらえる
・デザインカラーができる
というところでしょうか。
そもそも施術でお客様から料金を頂いているプロなので当たり前ですが、『ムラなくキレイに染まる』安定感と安心感があります。
そして『色数の豊富さ→似合う色にしてもらえる』というのは、サロンカラーの薬剤は、例えば1つのメーカーの薬剤だけでも数十種類あります。
その中から、さらにご要望に合わせてミックスしていくので、理論上は無限に色を作れます。
それだけ色を作れて、さらに『似合う色』について美容師側が勉強している(はず)ので基本的に似合う髪色にしてもらえます。
そして何より『デザインカラーができる』ということが1番のメリットと言えます。
やろうと思えば、セルフカラーでもセクションカラーのように広範囲の部分的に分けた2色のデザインならできます。
しかし、明るい線を沢山入れるハイライトカラーや、今流行りのユニコーンカラーなどの多色カラーなどは、さすがにそれなりの設備と技術がないと難しいので美容室でのみできるデザインと言えます。
最後に、サロンカラーのデメリットです。
・料金がホームカラーに比べて高い
・拘束時間がある程度かかる
といったところでしょうか。
当然ながら、『施術料金はセルフカラーに比べて高く』はなります。
上記の通り、薬剤の価格自体が高いことと技術料が発生するためです。
この技術料という部分に、ムラなくキレイに染まることや、確実に似合う色にしてくれるということも含まれます。
そして、ヘアカラーは単純に【塗る】という施術の時間だけではなく、その後発色するまでの放置時間・シャンプーの時間・ブローの時間が掛かります。
もっと細かく言えば、ご自宅と美容室を往復する時間・受付と準備の時間・最後にお会計の時間もかかります。
これら全てのトータルで考えると、ある程度まとまって時間をとらなければいけないことばデメリットと言えます。
セルフカラーとサロンカラーの違い
セルフカラーとサロンカラーの特徴をご理解いただけたところで、最初にお伝えしたカラー剤の基礎も踏まえつつ、今度はそれぞれの違いをご説明していきます。
メリット・デメリットとはまた違った視点から、セルフカラーとサロンカラーの対比を感じていただけると思います。
この項の内容は、ほとんどサロンカラー寄りの内容になります。
なぜならば、この違いの部分をコントロールできるということ=サロンカラーの技術料とも言えるからです。
1剤(アルカリ成分)の違い
1剤のアルカリ成分の違いは2つポイントがあります。
1つめのポイントは、『アルカリの揮発しやすさ』が違うことです。
揮発するということは、空気中に逃げていくということです。
これで何が違うのか?というと、【臭い】と【ダメージ】が違ってきます!
人の肌は弱酸性というワードは聞いたことがあると思いますが、その肌から生えている髪ももちろん弱酸性です。
そして、アルカリ性は酸性の逆なので、当然ダメージの元になります。
ですが、アルカリは揮発していくので、時間が経つごとに髪から出ていきます。
その揮発するスピードがセルフカラーとサロンカラーでは違うということです!
つまり!揮発しやすいサロンカラーはダメージしにくい!ということです!
しかし、揮発するスピードが早いほど臭いを感じやすくなるので、揮発しやすい(=ダメージしにくい)サロンカラーの方が匂臭いが強い傾向にあります。
ただ、美容室は広い空間ですので、部屋中に臭いが充満してしまうことはないです。
美容室に比べて、ご自宅ではどうしても狭い空間でのカラー施術になるので、セルフカラーの方が揮発しにくい(=ダメージしやすい)アルカリを使うことで臭いを抑えています。
でもここ最近のセルフカラーは、メーカーの企業努力で臭いを抑えつつダメージしにく処方になってきています。
2つめのポイントは、カラー剤の強さの違いです。
サロンカラーのアルカリは、大きく3タイプの強さがあり、強い方から【アルカリ】・【弱(低)アルカリ】・【微アルカリ】です。
アルカリが強いほど、明るくする力が強く色もクリアな質感が出ます。
逆に微アルカリではほぼ髪は明るくなりません。その分ダメージもほぼかかりません。
サロンカラーの場合は、髪質やご要望に合わせて美容師が必要な強さのアルカリをチョイスして使います。
しかしセルフカラーの場合、一般の方にはそのチョイスは出来ないので、基本アルカリ1択です。これを弱くしてしまうと、「染まらない!」というクレームがくる可能性があります・・・。「染まり過ぎ!」というクレームはほぼないでしょうからここはしょうがない部分です。ダメージ覚悟でアルカリです。
2剤(オキシドール)の違い
2剤のオキシドール(オキシ/過酸化水素)は、濃度の違いがポイントです。
オキシは、主に髪の毛のメラニン色素を壊す役割と1剤の色素を発色させる役割があるので、単純に濃度が濃いほど明るくなり、色もしっかり染まります。
しかし、日本では法律上、カラー剤のオキシ濃度はMAX6%までと定められています。
なぜなら、濃度が濃いほど髪と頭皮に対してダメージが大きいからです。
6%以下はメーカーによって例えば4.5%・3%・1%などなどあり、サロンカラーの場合は美容師が必要に合わせた濃度をチョイスして使っています。
しかし、一般の方にはそのチョイスは出来ないのでセルフカラーはアルカリ同様、ダメージ覚悟で6%一択です。
塗布技術の違い
当然ですが、美容師はカラー剤を塗るテクニックも練習して身に付けます。
塗る前も髪質を診断して、必要なテクニックをチョイスします。
塗りながらも逐一髪の状態を確認しながら塗っています。
というように、サロンカラーでは美容師が塗布技術を持っていますので、ムラなくキレイに仕上げることができます。
さすがに一般の方では、今の髪や頭皮のコンディションをチェックしながら塗り分けるようなことは出来ないので、ここにもサロンカラーとの違いということが言えます。
ただ一般の方でも、塗布技術とまではいかないまでも『自分で塗らずに誰かほかの人に塗ってもらう』ことである程度ムラ染まりを回避しやすくなりますので、協力してくれそうな方を見つけておくと良いでしょう。
サロンカラーでしかできないこと
派生的な意味合いで、美容室でカラーをするとき、つまりサロンカラーのときでしかできないことをお伝えしていきます。
知っておくと、これまた『どこでどうやって染めようか?』と考えるときに一考の余地はあるかと思うので参考にしてください。
豊富なカラー剤のバリエーション
上記のように、サロンカラーにおいてはダメージしないように美容師があれこれ考えてカラー剤をチョイスしているワケですが、そもそもカラー剤はアルカリだけではありません。
美容室によって取り扱っている商材は違うので、どの美容室にでもあるとは言えませんが、ヘアマニキュア・ヘナ・塩基性カラー・ノンアルカリカラーなど一口にカラー剤と言っても多岐に渡ります。
もちろんそれぞれ染め方や取り扱い方が違うので、ご要望に合わせて何をご提案し、どのカラー剤をチョイスするかも含めた全てが美容師の技術ということです。
専用のトリートメント
カラー剤のチョイスだけがダメージを抑えるポイントではありません。
美容室には何種類ものトリートメントがあり、カラー剤の定着を良くするタイプやダメージそのものをケアする、もしくはキャンセルするタイプなど色々あります。
トリートメントのチョイスも、カラー剤との相性や料金・時間との兼ね合いなどありますので、担当美容師と良く相談の上決めていきましょう。
ダメージキャンセルタイプは、髪も頭皮もダメージをキャンセルできるので、最低限やっておくことをおすすめしますが・・・。
セルフカラーとサロンカラーのまとめ
セルフカラーとサロンカラーの特徴・違いは整理できましたか?
最後に僕のカラーですが、10月下旬にホームカラーのカラー剤を購入し染めました。
もちろん自分で塗るのではなく、同僚のカラーリストの染めてもらいましたが 笑
その後、約半月経過した時点でやはり染めた直後より明るくなってきましたが、予想外にダメージが少なくビックリしています!
実は5、6年前にも同様の実験をしたのですが、その時はかなり早く退色して染める前より明るくなり、毛先のダメージが凄かったと記憶しています。
これはメーカーの企業努力としか言えません。
この5、6年でのホームカラーの進化です。
この結果はまた後日別記事にしますので、そちらもぜひお楽しみに!!
【追記】ということで別記事にてこの結末をご紹介しています。ご覧ください!↓
それでは、今一度ご自身が『どういうヘアカラーにしたいか?』を整理していただき、1番合った染め方をチョイスする参考にしていただければ幸いです。
読んでいただきありがとうございます!ヘアカラーリスト今井 でした!